まず CD の販売に関しては、CD を制作した際に、納められる楽曲の著作権がすべてクリアされていれば、問題なく販売できます。
楽曲には例外なく著作権がありますから、他人の曲を勝手にカバーし、勝手に録音し、勝手に CD に焼いて、販売したり配ったりすることはできません。その著作権所有者から許諾を得ていなければ、カバー曲を流通させることはできません。
米国での権利処理については、このページも参照ください。
JASRAC 信託されている曲の場合、JASRAC で調べて、二次使用申請を行い、使用料を払ってから、CD を制作します。
デジタル販売だけを行う場合、事前に二次使用申請を行う必要はありません(ただし、勝手に録音して発売できない曲もあるので、JASRAC で登録状況を調べるなどして、必ず事前に権利関係の問題がないことを確認しておいてください)。
日本のデジタル販売の場合、JASRAC 信託されている曲の著作権使用料は、楽曲を販売するデジタル販売サービスが、その曲の売り上げから JASRAC に支払うことになっています。ですから、例えば、iTunes Store Japan で売れたカバー曲の使用料は、楽曲が売れた時点で iTunes Store Japan が JASRAC に支払います。アーティストが払う必要はありませんが、すでに iTunes Store Japan が売り上げから使用料を払っていますので、アーティストが受け取る売り上げは使用料が差し引かれた金額になります。
海外でのデジタル販売については、JASRACの管轄外なので、JASRACから許諾を得ることはできません。「JASRAC信託曲は」というページを参照してください。
また、海外のデジタル販売サービスの場合も、米国を除くほとんどの主要先進国では、デジタル販売サービスが使用料を払うようになってきていますが、日本の曲の使用料を払っているかどうかは、曲が売れた時点で、個別に調べなければなりません。
デジタル販売サービスによっては、この煩雑な判断と手続きを嫌って、カバー曲があると、そのアルバムの発売を拒否する場合があります。また調査を依頼しても、タイムリーに回答がこないこともあります。
デジタル販売サービスが使用料を支払っていない場合は、アーティストが徴収代行団体あるいは著作権保有者/管理者に報告し、直接支払わなければなりません。
日本の曲をカバーした場合、海外での使用料は払われていないものと仮定し、自分で処理して支払った方が無難と考えられます。使用料を二重払いする結果になるかも知れませんが、支払っていないまま放置するよりはよいでしょう。